ナーシングホームとは?必要性やターミナルケアとの関係性を解説

ナーシングホーム

様々な医療機器を装着した人が入居できる有料老人ホームの形態として、ナーシングホームが注目を集めています。

しかし、入居できる人の具体的な条件や利用料金の目安などがわかりにいと感じる人もいるでしょう。

本記事では、ナーシングホームの基礎知識を解説します。

ナーシングホームに入居するための条件や利用料金なども、あわせてご覧ください。

ナーシングホームとは?

 

ナーシングホームとは、アメリカで発祥した日常的な医療・介護・リハビリなどを提供する施設です。

日本ではまだ浸透していないものの、経管栄養や人工呼吸器などを必要とする人の受け皿として、少しずつ施設数が増えています。

この章では、ナーシングホームの基礎知識を解説します。

1.ナーシングホーム=医療+介護の一体型体制施設

日本においては、ナーシングホームの定義づけはされていません。

明確なのは、医療と介護が一体となり、長期療養者や終末期が近い人をメインにしたサービスを提供していること。

現代の日本では、内閣府が情報ページで発表しているように「寝たきり・ほとんど寝たきり」となっている要介護者が130万人いる状態です。

そして、寝たきり・ほとんど寝たきりとなった人の中には、生命維持に医療機器が手放せないケースが多々あります。

その一方で、病院の長期療養病棟には限りがある上に、提供できるサービスが限られてしまうのが現状です。

そんな中で、医療と介護が一体となってサービスを提供できるナーシングホームのような存在を求める声が高まりを見せています。

2.ターミナルケアにはナーシングホームが最適

ターミナルケア(終末期医療・終末期看護)とは、点滴や酸素吸入などの延命治療を含めた、最後の時を迎えようとしている人に対するケアです。

ナーシングホームは看護職員が24時間365日常駐しており、近隣の医療機関と連携して対応できるため、充実したターミナルケアを提供できます。

治療が困難なほど重度のガン患者を例に考えてみましょう。

治療が困難なガンの場合は、ガンの痛みを取り除く「緩和ケア」が実施されます。

しかし、緩和ケアは麻薬を使用する場合もあるため、従来の介護施設でのケアは困難。

受け入れ体制にもよりますが、ナーシングホームであれば緩和ケアも実施できます。

ナーシングホームは、アットホームな雰囲気の中で最後の時を迎えたい人にぴったりの環境です。

3.超高齢化の現代にナーシングホームが必須

超高齢化となった現代社会では、高齢者に関連した様々な課題があります。

たとえば孤立死や詐欺、火災や交通事故などがあり、中でも孤立死は特に大きな課題です。

実際に、内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」では、約3割の人が「孤立死を身近に感じる」と回答しています。

孤立死の原因として代表的なのは、他者とのコミュニケーション不足に起因して、頼れる人がいなくなってしまうこと。

他者とのコミュニケーション不足は、病気やケガなどの事情を抱えている人にとって他人事ではありません。

ナーシングホームでは、ケアスタッフが常駐しており、コミュニケーションをはじめとした様々なサービスを提供できます。

したがって、ナーシングホームは超高齢化社会において、重要な役割を担う存在と言えるでしょう。

ナーシングホームの特徴とは?

ナーシングホームは、従来の高齢者施設とは異なったサービスを提供します。

それでは、ほかの高齢者施設とはどのように異なるのでしょうか。

この章では、ナーシングホームの3つの特徴を解説します。

特徴1.看護師が24時間365日常駐

ナーシングホームは、多様な医療処置を必要とする人を対象としているため、24時間365日体制で看護師が常駐しています。

近年では、たんの吸引や経管栄養など、研修を受講した介護スタッフが提供できるケアも存在します。

しかし、入居されている人の状態が変わったときや点滴に関連した処置などは、介護スタッフのみでは判断や対応が困難です。

看護師が常駐し、必要時には医療機関と連携を図ることで、入居されている人の安全や生活を守れるのです。

特徴2.幅広い医療行為に対応

まずは、従来の介護施設でも対応できる医療行為として、以下の例を見てみましょう。

  • 経管栄養
  • たんの吸引
  • 中心静脈栄養
  • 人工肛門に関連した処置
  • 膀胱留置カテーテルに関連した処置

続いて、対応が困難とされる医療行為です。

  • 人工呼吸器管理
  • 麻薬利用
  • 在宅人工呼吸療法

ナーシングホームでは、医療機関との密に連携できる体制と看護師の常駐によって、対応が困難となるケースはほとんどありません。

これまでは病院の長期療養病棟のみと言われていた人も、選択肢の幅が広がります。

特徴3.病状悪化時も継続利用できる

施設入所中に病状が悪化して救急搬送され、結果的に病院で最後を迎えるというケースは少なくありません。

しかし、せっかくアットホームな環境で生活できていたのであれば「最後まで同じ環境で過ごしたい」と感じる人も多いでしょう。

ナーシングホームは、病状悪化時に延命治療をせず、そのまま看取るという選択も可能です。

最後を迎える瞬間まで、その人らしさを保てるケアを提供できるのがナーシングホームです。

ナーシングホームの利用料金形態

料金は、ナーシングホームの利用を検討するときの大きな判断材料です。

厚生労働省 保護課の資料によると、高齢者の生活保護受給者数は増加傾向にあることからも、利用料金で悩む人の多さが伺えます。

この章では、ナーシングホームの利用料金の内容と金額の目安を解説します。

1.家賃・管理費

ナーシングホームでは、介護保険や医療保険の対象外となる以下の料金が発生します。

  • 家賃
  • 管理費
  • 食費
  • 光熱費
  • おむつ代

家賃や管理費は地価や建築費などによって左右されるものの、秋田県では45,000~50,000円ほどが目安となっています。

食費は外注・施設内提供などの体制によるものの、5,000~15,000円ほど。

光熱費やおむつ代は固定されているケースが多く、光熱費は10,000~15,000円、おむつ代は5,000円ほどが主流です。

2.介護・看護サービス費用

介護・看護サービス費用は、入居される人の収入額によって1~3割負担となります。

介護・看護サービス費用の負担割合は、年間所得によって以下のように定められています。

  • 1割:年間合計所得が280万円未満
  • 2割:年間合計所得が280万円以上340万円未満
  • 3割:年間合計所得が340万円以上

さらに、夫婦の場合は年間合計所得が346万円以上で2割負担、463万円以上で3割負担です。

ナーシングホームによって、どのような体制や加算でサービスを提供しているかが異なるため、看護・介護サービス費用の明確な目安はありません。

そのため、ナーシングホームの利用を検討する際は、複数の施設に問い合わせて料金とサービスの内容を比較・検討すると良いでしょう。

3.ナーシングホームの利用料金は10万円~

ナーシングホームの利用料金は、各種費用を合計して、最低でも10万円/月かかると考えておきましょう。

地域によっては高額になる場合があるものの、訪問看護を活用したナーシングホームでは、厚労省「訪問看護(参考資料)」にあるように割引対象となる可能性もあります。

割引対象となる具体例としては、末期の悪性腫瘍・パーキンソン病関連疾患・在宅人工呼吸指導管理などです。

なお、秋田県横手市に2023年に設立した株式会社プレイフルが新設した「ナーシングホームLiBひらか」では、公式サイト内で、80,000~100,000円ほどの利用料金シミュレーションを掲載しています。

決して「料金が安いナーシングホームがいい」というわけではありませんが、無理のない料金の施設を選ぶのも大切です。

サービスの内容と料金を比較しながら、より良いナーシングホームを選んでください。

ナーシングホームの需要は今後高まる見込み

日本では、2025年に団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)に達し、高齢者が総人口の30%以上となります。

近年では、運動や日常生活の見直しによって要介護状態となるリスクを減らす「介護予防」という考え方や取り組みが浸透している一方で、介護・医療費の急増が懸念されています。

そんな中で問題視されているのが、病院や介護施設といった受け入れ先の不足です。

しかし、介護・医療に対するニーズの多様化や物価高などを受けて、新たな施設がなかなか増えていないのが現状です。

病院や介護施設の不足に対して、日本政府は「地域包括システム」の構築を急いでいます。

地域包括システムとは、重度・軽度を問わず要介護者が住み慣れた場所で生活できるよう、地域全体で支えようという考えです。

最後までその人らしく生きるためのターミナルケアを地域全体で支えることで、最後の瞬間までその人らしく生活できるようにするのです。

そして、地域包括システムの機能を十分に備えた地域の創造には、様々な形態の介護事業所の存在が必須。

ナーシングホームは、ターミナルケア実践の場となるほか、ホスピスとしての役割も担える介護施設です。

今後は、より幅広い介護サービスを提供でき、その人らしく最期まで生活できる場としてのナーシングホームの需要が高まる見込みです。

ナーシングホームの利用を検討中の方へ

この記事では、ナーシングホームの基礎知識・特徴・利用料金などを解説しました。

要介護状態になるときは、病気やケガなどの要因があり、病気やケガはいつ・どこでかかってもおかしくはありません。

場合によっては、人工呼吸器をはじめとした医療機器が必要になる場合もあるでしょう。

当メディアを運営するナーシングホームLiBひらかでは、様々な医療機器を装着している方を受け入れております。

施設への入居申し込みや相談も随時受け付けておりますので、ぜひお気軽にお声がけください。

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